【体験談】「たかが歯」が命に関わることも…実際にあった話

今回のBlogでは、虫歯菌が原因と思われることをきっかけに、体に異変が起こり、思いもよらないつらい経験をされた方のお話を伺うことができました。この体験談を、少しでも多くの方に読んでいただければと思います。

スタッフ
本日はよろしくお願いします。歯のことで大変な思いをされたとうかがっていますが、まずはここまでの流れを教えていただけますか?
Kさん
はい、よろしくお願いします。
実は最初のきっかけは、タイに出張で来ていたときでした。特に硬いものを食べていたわけではなかったんですが、食事中に「カリッ」と違和感があって…。確認してみたら、詰め物が取れてしまっていたんです。
スタッフ
取れたのは、部分的な詰め物ですか?
Kさん
そうですね、全部を覆うものじゃなくて一部の詰め物でした。
スタッフ
その後、痛みやしみる感じはありましたか?
Kさん
痛みはなかったですね。ただ、少し出血があって血の味がしました。

■異変は2日後に突然…

スタッフ
その後、何か変わったことはありましたか?
Kさん
2日後に急に首が痛くなりました。
スタッフ
えっ、首ですか!?
Kさん
最初、熱が出ていて、体調があまり良くなかったんでホテルで2日ほど寝てました。その3日後に詰め物が取れてしまったんです。それから首が痛み出して・・
スタッフ
詰め物が取れて、タイで歯科医院には行かれましたか?
Kさん
タイには出張で来ていて詰め物が取れた2日後に帰国予定でしたので、日本に戻ってから行こうと思っていたんですが、首の痛みでそれどころじゃなくなっちゃって・・
スタッフ
日本に戻ってどうされましたか?
Kさん
寝違えだと思っていたので、整骨院で鍼を打ってもらったんですが、
「これは普通の状態じゃないから、大きな病院で診てもらった方がいい」と言われました。
その後、外科でレントゲンを撮ってもらいましたが、異常は見つからず…。
次に神経科を受診したところ、またもや「すぐに精密検査を受けてください」と言われ、月曜日に受診。
そこから2日待って、脳神経科で詳しい検査を受けました。
スタッフ
どんな検査をしましたか?
Kさん
MRI検査をしました。
結果は脊髄のここの部分に膿が溜まっていると説明を受けました。
スタッフ
では、この膿が原因だったんですか!
もしかして、被せ物が取れたことが原因で起きたんですか?
Kさん
検査の結果では、特殊な虫歯菌ではなくて
免疫力の低下により、通常の虫歯菌が原因で発症した可能性が高いようです。
ただ、普通はこんな事にはならないと言われました。
スタッフ
今回の事は珍しいケースだったんですね。
Kさん
そうみたいです。
最初に熱が出て体がしんどくて免疫が低下しているときに、虫歯菌が血液に入ってしまったことで膿が発生してしまったようです。
スタッフ
病名は何と言われたんですか?
Kさん
「脊髄硬膜外膿瘍(セキズイコウマクガイノウヨウ)」と言われました。
スタッフ
すみません、私は今までに聞いたことがない病名なんですが、どんな治療をされたのですか?
Kさん

私の場合は、脳神経内科から連絡がきて、『紹介状を書くので、すぐに大きな病院へ行ってください』と言われました。
そのまま病院に行って、紹介状とレントゲンなどのデータを渡したんです。
すると医師から、『ここでは今すぐレントゲンを撮ることはできません。ただ、持ってきていただいた画像を見る限り、すぐに手術が必要です』と言われて…。
さらに、『このままだと、明日には立ち上がれなくなる可能性があります』とも言われました。

スタッフ

えっ…そんなに大変な状況だったんですね…。
それは本当に怖かったですよね。
でも、早めに病院に行かれて、きちんと原因が分かったからこそ、大事に至らずに済んだんですね。

Kさん

すぐには原因が分からず、「あと少し発見が遅れていたら、膿がさらに広がっていた」と言われました。
そのため、すぐに手術を行うことになりました。まず、首の骨に穴を開け、腰から採取した骨を移植。
このままの状態では首を正常に支えられないため、頭に4本のボルトを入れ、固定装置を装着しました。

*この画像は、イメージです。
ネジの本数や位置は実際のものとは異なります。
Kさん
固定器具はこんな感じです。
ちなみに使ったボルトは下の写真になります。
スタッフ
かなり衝撃な状態ですね。かなり痛々しいです。
今はボルトは入ったままですか?
Kさん

今はもう入っていません。
ただ、ボルトを入れていた頃は本当に大変でした。頭蓋骨に何か所もボルトを打ち込んで固定していたので、正直かなりきつかったです。上に付けていた装置も、顎まわりまで固定されるタイプだったので、感覚としては常に首を固定されているような状態で…。
実際、首の骨を守るために動きを制限する必要があり、日常生活もかなり制限されて、「普通に動けることってこんなにありがたいんだな」と実感した期間でしたね。

スタッフ

そうですよね。
健康で普通に生活できることって、つい当たり前のように感じてしまいますよね。
でも、Kさんのような経験をされて初めて、その「当たり前」がどれだけありがたいことなのかに気づかされるんだと思います。
私も改めて、日常の何気ないことにも感謝しないといけないなと感じます。
ちなみに、痛み等はあったんでしょうか?

Kさん

頭蓋骨が少しでもずれると、この装置が緩んでしまうんです。
そうなると、すぐに「あ、ズレたな」って分かるくらい痛くて…。
そのたびにボルトを締め直してもらうんですが、すぐに良くなるわけではなくて、だいたい1週間くらいかけて少しずつ調整していく必要があります。
装置がちゃんと正しい位置に戻ると、不思議と痛みもスッと引いて、ようやく普通に寝られるようになるんですよね。

スタッフ
想像するだけでも怖いですね・・・。
どの位入院されていたのですか?
Kさん
3か月くらいで点滴の処置も終わって、先生からは退院できるよって言われたんですが、
「いや~、このまま装置が付いた状態で退院するのは・・」っていいましたね。
先生は、固定方法が外固定と内固定があるそうで、今のが外固定でハローベストって言う装置になるのですがこれだと半年以上かかるって。
それなら内固定の方がいいってことになりました。
スタッフ
内固定ですと期間が短くなるのですか?
Kさん
一生、必要だと言われました。
しかし、今の外固定でこれから数か月過ごすよりは、内固定の方がいいと思ったので
その方向で先生にお願いしました。
これが内固定の状態になります。
                                                       
Kさん
分かりやすくするとこんな感じだね。
首の骨のところに、こうやってネジとワイヤーで固定されるようになってます。
スタッフ
ちなみに首を後ろに動かりできるんですか?
Kさん

できます。でも電話をする時に電話機を肩で担ぐようには出来ないね。
それに肩がメチャメチャ凝ります。
首のS字カーブが崩れている(いわゆる ストレートネック)から、頭の重さを骨じゃなくて首や肩の筋肉で支える状態になっていて、ずっと負担がかかっているから。
ちなみに枕も使えなくなっちゃっいました。

スタッフ
マッサージとかは効果ないんですか?
Kさん
あ-・・・あんまりよくないよって。
でもね、実は肩こりがひどくて困っていたんです。
そこで始めたのが、
片側2kgのダンベルを使った肩甲骨ストレッチです。
これ、ゴルフ仲間から教えてもらって、
「試しにやってみようかな」と思って始めたんですが…
意外とこれが効果ありで。
やるようになってから、だいぶ楽になったんですよね。
スタッフ
ダンベルは2kgって決まってるんですか?
Kさん
そう、2kg。
それ以上やると肩が壊れちゃうから・・(笑)
スタッフ
そうなんですか・・(笑)
でも肩こりに効果がある対策が見つかってよかったですよね。
そういえばさっき内固定にしたら一生ってことでしたが、どこかで
状態が良くなって取れる日はこないんですかね?
Kさん

「あ、もちろんもう一度手術すれば取ることはできますよ」って言われたんですけどね。でも、もともとむち打ち症で首がほとんど動かなかったんですよ。
それが手術のおかげでかなり動くようになって、今では雑巾も普通に絞れるようになりました(笑)ただ、首が安定するまでに3か月くらいかかるみたいで…。
もしまた手術するとなると、さらに3か月くらい入院しないといけないらしいんですよね。

スタッフ
また再手術した場合は固定したり必要になるんですか?
Kさん

今は内固定のネジが入っているので、それで首が固定されている状態なんです。
でも、もし外してしまったら、今度は支えるものがなくなってしまうんですよね。あと、手術のときにうつ伏せの状態が影響で、首のきれいなS字のカーブがなくなってしまって…。
そのせいで、以前使っていた枕も合わなくなっちゃいました。

スタッフ
今更ですが、手術の時は全身麻酔だったんですか?
Kさん

はい、全身麻酔でした。
さっきの枕の話に戻っちゃいますが、今はバスタオルで高さを調整して、枕代わりにしています。本当は何もない状態が一番楽なんですが、まったく高さがないと寝返りを打つ時につらくて…。
薄くても少し高さがあったほうが楽なんですよね。

スタッフ

枕の調整も大変ですね・・。ちなみに手術でかかった時間はどのくらいでしたか?

Kさん
最初の時の手術は11時から執刀して終わったのが15時で
そのあとの内固定の手術では3時間くらいかかったと聞きました。
いまでも忘れられないのは誤嚥性肺炎を発症する恐れがあるからって
手術の後は頭を起こしちゃいけないからって顎を引くことも出来なくて、水を飲むことが出来なかったのが辛かったね。その時、吸引をずっとしてるからすごくのどが渇くんだけど、唇を氷で濡らすだけしか出来なくて・・。
ICUも2日間入って、点滴をしていて3日目になって本当にオモユ程度の食べ物を
少し食べて、そのあとは体を45度まで起こしてもいいと言われて、そこからだいぶ自由になってきました。
スタッフ
でも自由になっても固定器具が付いてる状態なんですもんね。
Kさん
そうね、器具が付いてるから他の動が出来なくなるよね。
何かが良くなっても、他がまた不自由になるからね・・。
スタッフ
私も数十年間、歯科医院で働いてきましたがこのように歯が原因で
重篤になってしまったというお話は聞いたことが無かったので、
色々とお辛い経験されて本当に大変だったんだと改めて思いました。
最後に、この経験を通して伝えたいことはありますか?
Kさん

やっぱり虫歯や歯周病は、さまざまな病原菌の原因にもなるからこそ、気をつけないといけないと改めて思いました。
今回のことで、少しの発熱でもすぐに病院へ行く大切さにも気づかされました。
それと同時に、これをきっかけに歯科医院での検診もきちんと受けるようになりました。
そしてもう一つ強く感じたのは、無理をしないことの大切さです。
自分の体を自分だけのものだと思って無理を続けてしまうと、気づかないうちに負担がかかり、免疫が落ち、思いもよらない不調につながることがあります。
無理を重ねた先にあるのは、頑張った証ではなく、体からの限界のサインかもしれません。
気づいたときには遅かった、そうならないためにも、どうか自分の体としっかり向き合い、歯科検診も含めて日頃からケアを大切にしてほしいです。

スタッフ

今回のお話を通して、改めて「健康で普通に過ごせること」のありがたさを感じました。
そして同時に、“たかが歯”と思ってしまいがちな小さな違和感や不調が、全身に大きな影響を及ぼすこともあるのだと考えさせられました。
今回、ご自身の大変な経験をお話ししてくださったKさん、本当にありがとうございました。実際に経験されたからこそ伝わる言葉には、とても大きな重みがありました。「たかが歯」と軽く考えず、少しでも気になる症状がある時は早めに受診し、日頃から歯科検診を受ける大切さを、改めて感じていただけたら嬉しいです。

>歯に関するご相談・お問い合わせはこちら

歯に関するご相談・お問い合わせはこちら